子宮体ガンの特徴や治療法と備えられる保険について
子宮ガンは、女性ならではの注意すべき病気の一つです。ガンが発生する場所によって、子宮体ガン、子宮頸ガンに分けられます。どちらも女性であれば誰もが罹患する可能性のある病気です。
ここでは子宮体ガンについて、病気の特徴や罹患数、治療方法や備えられる保険を紹介します。いざというときのために、病気のことを理解しておきましょう。
子宮体ガンの特徴
子宮は、上部の袋のような形をした体部と、その下部にある筒状の頸部に分けられる臓器です。体部にできるガンは子宮体ガン、頸部にできるガンは子宮頸ガンと呼ばれます。
なお子宮体部の内側の壁は、受精卵が着床する部分である子宮内膜という粘膜で覆われています。子宮体ガンはこの子宮内膜で発生することから、子宮内膜ガンと呼ばれることもあります。
子宮体ガンの自覚症状として、代表的なものは出血です。月経時以外や閉経後、不正出血やおりものに血が混ざるなどの症状があった場合に気を付けなければいけませんが、生理なのか不正出血なのかなど、自身では判断がつかないこともあります。気になることがあれば、すみやかに婦人科を受診しましょう。早期から症状があるのも子宮体ガンの特徴であり、発見が早ければ治療を早く開始でき、完治の可能性が高くなります。その他、排尿時、性交時の痛みや、下腹部の痛みなども、自覚症状として挙げられます。
子宮頸ガンとの大きな違いは、発生要因です。子宮頸ガンは、性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)感染が主な原因ですが、子宮体ガンは女性ホルモンのエストロゲンが原因の一つに挙げられます。子宮にできるガンでも、発生の原因に違いがあることも知っておきましょう。
子宮体ガンの罹患数は?
2020年の女性の部位別ガン罹患数で「子宮体部」は17,779人となっています。これは、10,353人の「子宮頚部」よりも多い数値です。また、下のグラフでも確認できますが、子宮体ガンの罹患数は40代後半から上昇して50代前半でピークを迎えています。
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)「全国がん罹患データ(2016年~2020年)」
子宮体ガンにかかりやすいのはどんな人?
子宮体ガンに関係しているエストロゲンは女性ホルモンの一つで、子宮内膜の発育を促す作用があります。出産経験がない、閉経が遅い、肥満体質である、エストロゲンを生み出す腫瘍があるなど、さまざまな理由でエストロゲンが多く分泌される状態が続くと子宮内膜が長期間刺激された状態となり、子宮体ガンの発生につながることがあります。
食生活の欧米化、晩婚化や少子化といった要素が子宮体ガンの罹患数上昇に影響しているとも考えられています。普段の生活においては、脂肪の摂り過ぎなどには注意しなくてはいけません。
その他、遺伝的に子宮体ガンにかかりやすい人もいます。リンチ症候群と呼ばれる、大腸ガンや子宮体ガンなどにかかりやすい体質にあたる人がそうです。血縁者に大腸ガン、子宮体ガンにかかった人がおり、このリンチ症候群による影響が考えられる場合は、自身にも遺伝している可能性があります。
子宮体ガンの治療方法とかかる費用
子宮体ガンの標準治療(臨床試験の結果などを元に、専門家が現在のところ最善であるとした治療法)とされているのは、手術によるガンの切除です。切除する範囲はガンの広がりによって異なりますが、基本的には子宮だけでなく卵管や卵巣も摘出し、ガンが広がっている場合には周囲のリンパ節や膣の一部なども摘出します。ガンの進行期に合わせ、放射線治療や薬物治療の追加が必要となることもあります。
子宮体ガンの手術の種類は、子宮、卵巣、卵管を摘出する「単純子宮全摘出術」、子宮を支えている組織の一部も含めて摘出する「準広汎子宮全摘出術」、子宮の周りの広範囲の組織もあわせて摘出する「広汎子宮全摘出術」の3つです。早期の子宮体ガンであれば、開腹手術以外にも、腹腔鏡下手術や、ロボット支援下手術といった体に負担の少ない方法での手術が検討できる場合もあります。
摘出となると、特に若い年代では、妊娠できなくなる悩みが出てきます。年齢や、ガンの進行度、状態などの条件を満たしていた場合、黄体ホルモン療法という子宮を温存しての治療も検討できる可能性はあります。ただし、黄体ホルモン療法を選ぶにあたっては他の病気が起こるリスクなどもあるため、担当医とよく話し合った上での選択が必要です。
子宮体ガンを含む子宮ガンで入院した場合の治療費に関しては、1件あたり約65万円が平均値(下記統計の医療費を件数で割って算出)であり、1つの目安となるでしょう。
医療費の自己負担の割合が3割の場合は、この3割が自己負担額となります。なお、「高額療養費制度」により、医療機関等の窓口で支払う医療費が1ヵ月で上限額を超えた場合、年齢や所得に応じて超過された部分が払い戻しされる場合があります。
子宮の悪性新生物<腫瘍> 「診療種類別 入院」(調査年月:2021年度/制度・計)
医療費:64,465,682,430円
件数:99,763件
出典:厚生労働省「医療給付実態調査 / 報告書 令和3年度」
子宮体ガンに備えられる保険
子宮体ガンで手術・入院治療が必要で、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額が支給される「高額療養費制度」がありますが、差額ベッド代、入院中の食事代などは対象外となるため自己負担額が大きくなる場合があります。
そんないざというときの備えとなるのが、医療保険です。子宮体ガンなど、女性特有のガンに特化した補償もあります。
たとえばアメリカンホーム保険の女性のための医療保険「morph(モルフ)」の「女性ガン一時金支払特約」は、子宮体ガンのような女性特有のガンと生まれてはじめて診断されたときに一時金を受け取れます。
女性特有のガンの一つである子宮体ガンは、治療に手術が必要となることが多い病気です。医療保険を備えておくことは、罹患したときの負担を少しでも減らすことにつながります。
「morph(モルフ)」は、入院や手術の補償や、先進医療を受ける際の補償など、自分が必要とする補償を選ぶことのできる、くみたて型の保険となっています。未来の自分に万が一のことがあったときのために、医療保険を備えておくことを検討してみてはいかがでしょうか。
【医療情報に関する監修】
医師:成田 亜希子
国立大学医学部卒。総合診療医。
国立保健医療科学院や公益財団法人結核予防会結核研究所で研修を積み、保健所勤務経験から感染症、医療行政に詳しい。
また、行政の女性健康相談窓口の担当経験もあり、女性を対象とした健康教育なども多く手掛けている。
現在は美容クリニックに勤務し、美容の悩みも含めて女性のトータルケアを手掛けている。