卵巣嚢腫の発症は気づきづらい! 発症したら保険は入れない?
卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)は、卵巣に腫瘍(嚢腫)ができる女性特有の病気です。初期の自覚症状に乏しいため、なかなか気づきにくいものの、腫瘍が大きくなると手術が必要になることもあります。また、発症後に医療保険を検討しても、卵巣嚢腫が原因で希望の保険が選べない可能性もあります。
万が一の場合のために、卵巣嚢腫の病気の特徴や治療法、医療保険でできる備えを把握しておくことが大切です。ここでは卵巣嚢腫について、医療保険に関する内容とあわせて解説します。
卵巣嚢腫はどんな病気?
卵巣嚢腫とは、卵巣にできる腫瘍のうち、中に液体が入った袋のような形をしたもののことをいいます。卵巣嚢腫のほとんどは良性ですが、まれに悪性の場合があるため、注意が必要な病気です。
卵巣嚢腫は、腫瘍の中に何がたまっているかによって、いくつかの種類に分類されます。主なものは、卵巣から分泌される液体がたまった漿液(しょうえき)性嚢腫、粘り気のある粘液がたまった粘液性嚢腫、毛髪や歯、皮膚などの組織がたまった皮様嚢腫、子宮内膜症などが原因で血液がたまったチョコレート嚢胞です。
嚢腫が大きくなってくると、徐々に下腹部の張りや痛み、腰痛、便秘、頻尿などの症状が現れるようになります。まれに大きくなった腫瘍の破裂や、腫瘍によって卵巣がねじれる「茎捻転(けいねんてん)」が起こると、急激な腹痛や嘔吐に見舞われて緊急手術が必要になる可能性もあります。また、まれにガン化するリスクもあります。いずれの嚢腫も、できるだけ早く見つけることが大切です。
卵巣嚢腫の原因は、嚢腫の種類によって異なります。漿液性嚢腫、粘液性嚢腫については、はっきりとした原因が解明されていません。皮様嚢腫は、受精していない卵子が細胞分裂を起こすことで発生するといわれています。チョコレート嚢胞は、本来子宮に発生する子宮内膜が卵巣に発生することで、月経の血液が卵巣内にたまる子宮内膜症が原因です。
卵巣嚢腫に気づく方法
卵巣嚢腫に限らず、卵巣の腫瘍の初期段階は自覚症状に乏しく、早期発見が難しいことが多いです。腫瘍が大きくなり、症状が出始めてからやっと気がつくことも少なくありません。
卵巣嚢腫に気がつくためには、定期的な検診を受けることが大切です。ただし、子宮頸がん検診では、内診では分かりにくい小さな病変の有無を調べることができる経腟超音波検査が行われないこともあります。なるべく経腟超音波検査が含まれる検査を受けるようにしましょう。
下腹部に膨満感やしこりのようなものを感じるなど、少しでも気になる症状がある場合は、すぐに婦人科を受診しましょう。
卵巣嚢腫の治療法
卵巣嚢腫は腫瘍の大きさや、嚢腫の種類によって治療の方法が異なります。良性のため、腫瘍が小さく、自覚症状に乏しい場合は、経過観察となる場合もあります。また、子宮内膜症が原因のチョコレート嚢胞の場合は、低用量ピルなどを用いたホルモン療法で、腫瘍の縮小を目指すこともあります。
腫瘍が大きい場合は、手術によって病巣を摘出する治療が主です。嚢腫だけを取り除く卵巣嚢腫核出術が広く行われていますが、悪性の可能性がある場合などは卵管や子宮を摘出することがあります。悪性の疑いがないか、将来的に妊娠や出産を希望するかどうかなど、人によって最適な方法は異なります。主治医とよく相談しながら、治療方法を選択することが重要です。
卵巣嚢腫に罹患したら保険には入れない?
卵巣嚢腫は、経過観察の後に手術が必要になったり、まれにガン化したりするリスクのある病気です。医療保険での備えがない人で、卵巣嚢腫が見つかった場合、その後のことを考えて医療保険で備えておきたいと考える方も少なくないでしょう。しかし、中には卵巣嚢腫と診断されてしまうと、医療保険の申込みができない場合があります。
とはいえ、すべての医療保険の申込みができないわけではありません。「完治してから一定の期間が経っている」「特定部位補償対象外」などの条件付きで、医療保険の申込みができる場合があります。保険会社や商品によって、条件や補償内容は変わってくるため、自分の状況や希望に合う医療保険を見つけることが大切です。
医療保険は、万が一、病気に罹患したときのために、健康に不安がない時期から備えておくと安心です。特に女性は、卵巣嚢腫以外にも気をつけるべき女性特有の病気が多く存在します。医療費負担を少しでも減らすために、医療保険で備えておくことも大切です。アメリカンホーム保険の女性のための医療保険「morph(モルフ)」は、女性特有の病気に対する補償を用意しています。この機会に、医療保険による備えを検討してみてはいかがでしょうか。
【医療情報に関する監修】
医師:成田 亜希子
国立大学医学部卒。総合診療医。
国立保健医療科学院や公益財団法人結核予防会結核研究所で研修を積み、保健所勤務経験から感染症、医療行政に詳しい。
また、行政の女性健康相談窓口の担当経験もあり、女性を対象とした健康教育なども多く手掛けている。
現在は美容クリニックに勤務し、美容の悩みも含めて女性のトータルケアを手掛けている。