卵巣ガンの特徴や治療法と備えられる保険について
女性特有の病気の一つに、卵巣ガンがあります。卵巣ガンは初期の段階では自覚症状に乏しく、厚生労働省が推進する「がん検診」の検査項目にも含まれていないことなどから、早期発見の機会が少ない病気です。また、卵巣ガンの多くは手術が必要になるため、卵巣ガンについて理解し、備えておくことが大切です。
ここでは、卵巣ガンの特徴や治療法、備えられる保険について紹介します。ガンが見つかったときも、できるだけ不安の少ない状態で治療に臨めるよう、病気についての理解を深めておきましょう。
卵巣ガンの特徴
卵巣ガンは、子宮の両脇にある卵巣に発生する悪性腫瘍のことです。卵巣は、親指大の大きさであり、その周りにもスペースがある関係で、ガンが発生した場合でも他の臓器、血管、神経などを圧迫することによる症状が現れにくい臓器です。このように自覚症状がすぐには現れにくいため、「沈黙の臓器」とも呼ばれます。卵巣ガンは初期の段階での発見が難しく、見つかったときには進行していることも少なくありません。
卵巣ガンは、進行すると下腹部にしこりが触れる、お腹が張るといった症状が現れることがあります。さらに播種(ガン細胞が、種をまいたように広がり、転移などすること)が起こり、腹水がたまるような状態になると、頻尿や便秘、食欲不振、脚のむくみなどの症状が出始めます。お腹の張りなど何らかの変調が続くときは放置せずに病院を受診しましょう。
卵巣ガンの罹患率は?
2020年の女性の部位別ガン罹患数で「卵巣」は12,738人となっています※1。最も多い「乳房」の罹患数91,531人と比べると少なくも見えますが、5年相対生存率(2009~2011年)で比較すると、「乳房」の92.3%に対し、「卵巣」は60.0%と低いのが特徴です※2。
また、年齢別に見ると、卵巣ガンの罹患率は50代前後で高まる傾向にあります※1。
※1 出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)「全国がん罹患データ(2016年~2020年)」
※2 出典:「全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)、独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書」
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)「全国がん罹患データ(2016年~2020年)」
卵巣ガンにかかりやすいのはどんな人?
卵巣ガンの発生には、遺伝的要因が関係している場合があります。人の体にあるBRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子は、細胞のガン化を防ぐはたらきがありますが、これらの遺伝子に変異がある場合、卵巣ガンと乳ガンのリスクが高まります。変異があることで乳ガンや卵巣ガンが発症しやすい状態にあることをHBOC(遺伝性乳ガン卵巣ガン症候群)と言い、実際、卵巣ガンの患者の内、10%~15%はHBOCだとも考えられています。
生活習慣の乱れは卵巣ガンに限らず、すべてのガンの要因となりがちです。バランスの良い食事や適度な運動、適切な体型維持を心がけ、飲酒、喫煙などにも注意しましょう。
また、卵巣ガンは出産経験が少ない、初潮が早い、閉経が遅いなど排卵回数が多い場合や子宮内膜症など骨盤内の病気がある場合に発症しやすくなるとされています。
卵巣ガンの治療方法
卵巣ガンの場合、主な治療は手術によるガンの切除です。場合によってはガンを小さくしてから手術を行うことや、術後に手術の効果を高めるために抗ガン剤などを用いた薬物治療が行われることもあります。
卵巣は骨盤の奥深くに位置する臓器です。そのため手術前の検査では、ガンの進行度を示すステージ(病期)を判断することができません。手術により切除した卵巣をもとにステージを評価します。
卵巣ガンの疑いがある場合、病変を取り除くこと、ガンのステージを確認することが手術の目的となります。
この方法でガンを取りきることが難しい場合は、生検によって組織型を診断することと、可能な範囲で手術進行期を確認することを目的とした「試験開腹術」や、計画的にガンを減らしていく「中間腫瘍減量手術」といった方法がとられることもあります。
また、妊娠の可能性を残すため、片方の卵巣だけを摘出する「妊よう性温存手術」を検討することも可能です。ただしこの手術を選ぶ場合は、ガンの進行度やガンの種類などさまざまな条件が満たされている必要があります。再発リスクなどもあるため、医師とよく相談した上で検討しましょう。
手術を伴う治療が多くなることから、治療費については高額になる可能性もあるでしょう。
卵巣ガンに備えられる保険
万が一、卵巣ガンのような病気になって、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度「高額療養費制度」が存在します。とはいえ保険適用外治療や入院時の食事代、差額ベッド代、交通費等に関しては適用されないなど条件があるので、自己負担額が大きくなる場合があります。
医療保険は、そんないざというときの備えになります。アメリカンホーム保険の女性のための医療保険「morph(モルフ)」は、自分にとって必要な補償を選べる医療保険です。女性特有のガンや病気に対する備えなど、必要な補償を選べるくみたて型の保険となっています。
卵巣ガンに対する備えなら「女性ガン一時金支払特約」を選択すると、生まれてはじめて女性特有のガンと診断された場合に一時金を受け取れます。そのほか、入院や手術の補償など、自分が必要とする補償を選ぶことが可能です。いつ罹患するかわからないガンに備え、医療保険を検討してみてはいかがでしょうか。
卵巣ガンは初期症状に乏しく、気がついたときには進行していることも少なくありません。また、治療には手術が必要になることも多い病気です。罹患してしまったときのために、医療保険を備えておくことは、自分の身を守ることにもつながります。必要な補償を選んで備えておくことができる「morph(モルフ)」などの医療保険をぜひ検討してみてください。
【医療情報に関する監修】
医師:成田 亜希子
国立大学医学部卒。総合診療医。
国立保健医療科学院や公益財団法人結核予防会結核研究所で研修を積み、保健所勤務経験から感染症、医療行政に詳しい。
また、行政の女性健康相談窓口の担当経験もあり、女性を対象とした健康教育なども多く手掛けている。
現在は美容クリニックに勤務し、美容の悩みも含めて女性のトータルケアを手掛けている。