押すと痛いなどの症状も! 卵管炎・卵巣炎の原因や治療法とは

卵管炎・卵巣炎は、女性が注意すべき病気の一つです。発症すると「下腹部を押すと痛い」など、さまざまな症状が現れます。治療せずに放置してしまうと、不妊の原因となるおそれもある病気です。

ここでは、そんな卵管炎・卵巣炎について、罹患する原因や主な症状、治療法についてご紹介します。この機会に、病気に対する理解を深めておきましょう。

卵管炎・卵巣炎とは

卵管は、子宮と卵巣をつなげている管のことです。その卵管や卵巣に細菌などの感染が生じて炎症が起きる病気のことを、それぞれ卵管炎・卵巣炎といいます。卵管炎と卵巣炎は合併して発症することが多く、合わせて「子宮付属器炎」と呼ばれることもあります。

治療をせずに放置しておくと、卵管が炎症によって癒着(本来は離れている臓器同士がくっついてしまうこと)したり、詰まったりすることで不妊や子宮外妊娠の原因となるおそれがあります。また、炎症が骨盤の中まで広がって骨盤腹膜炎と呼ばれる病気につながったり、卵巣に膿が溜まることで敗血症の原因になったりと、命にかかわる病気になることも考えられます。

そのため卵管炎・卵巣炎にかかる原因を知っておき、予防を心がけること、そして何らかの自覚症状がある場合は、慢性化・重症化を引き起こす前に婦人科を受診し、早期発見・早期治療を行うことが大切です。

卵管炎・卵巣炎の原因

卵管炎・卵巣炎は主に、大腸菌、ブドウ球菌、クラミジア、淋菌の感染が原因です。膣からこれらの菌に感染してしまうと、膣炎から子宮頸炎、子宮内膜炎と、下から上に感染が広がり、卵管や卵巣にまで炎症がおよんでしまいます。こうした細菌に感染してしまうのは、性交渉、タンポンなど生理用品の長時間使用などが主な原因です。また、流産や人工妊娠中絶など子宮内に医療器具を挿入する治療、子宮内避妊器具、卵巣嚢腫などによる感染が卵巣や卵管に広がることもあります。

特に、若い世代では性感染症の罹患者数が多くなっています。
そして、性感染症の中でも罹患者数が一番多く、卵管炎・卵巣炎の原因ともなるのが性器クラミジア感染症です。厚生労働省の「性感染症報告数※」によると、令和2年に性器クラミジア感染症に感染した女性は13,669人です。患者数を5歳刻みの年代別にみると、20歳〜24歳の感染者数が5,116人と最も多い数字となっています。

※出典:厚生労働省「性感染症報告数(2004年~2020年)」年齢(5歳階級)別にみた性感染症(STD) 報告数の年次推移

性器クラミジア感染症などの性感染症は卵管炎・卵巣炎の原因の一つとなるため、性感染症に注意したり、定期的にパートナーと一緒に性病の検診を受けたりすることが大切です。また、月経期間は雑菌が繁殖しないようにこまめに生理用品を取り替えるなど、衛生面に気をつけるようにしましょう。

押すと痛い? 卵管炎・卵巣炎の主な症状

炎症が強い急性期には、下腹部を押すと強い痛みが生じる場合があります。それ以外の症状としては、高熱、吐き気、腹部の膨満感、性交時の痛み、血や黄色い膿が混ざったおりものが出るなどが挙げられます。少しでも自覚症状があった際は、できるだけ早く婦人科を受診しましょう。

また、クラミジアや淋菌による卵管炎・卵巣炎の場合、おりものが増える程度の初期症状しか現れないこともあります。自覚症状に乏しい場合は、そのまま病気を放置してしまうことになりかねません。

治療しないまま炎症が慢性化してしまうと、発熱などの症状がおさまる代わりに、卵管が周囲の臓器と癒着を起こし、月経痛、腹痛、排尿痛、腰痛など、痛みが広がっていく場合があります。慢性化するまで放置してしまうと、不妊や子宮外妊娠などのリスクも高まります。自覚症状に乏しい場合でも、できるだけ早い段階で病気が発見できるよう、定期的に婦人科を受診するようにしましょう。

卵管炎・卵巣炎の治療法

卵管炎・卵巣炎は、なるべく早く抗生物質、消炎剤などで治療を行うことが大切です。症状が悪化した場合は、入院して安静にしながら点滴や注射で治療を行うこともあります。

注意すべきなのが、一度症状がおさまったからといって治療をやめてしまうと、慢性化してしまうおそれがある点です。自己判断せずに、医師の指示に従いながら継続して治療を行いましょう。

慢性化してしまった場合や、治療をしても症状が改善しない場合は、手術が必要になる可能性もあります。婦人科を受診して治療が開始した後も、慢性化・重症化しないよう慎重に治療を受けるようにしましょう。

卵管炎・卵巣炎は、放っておくと将来的に不妊や子宮外妊娠のリスクが高くなり、重症化した場合は骨盤腹膜炎、敗血症などにつながるおそれのある病気です。病気に対する知識を深めておき、下腹部を押すと痛いといった症状や発熱などがあるときは、早めに婦人科を受診しましょう。さらに、定期的な検診などで早期発見・早期治療につなげられるようにしましょう。また、卵管炎・卵巣炎以外にも、女性特有の病気は多く存在します。病気の治療の際に補償が受けられる医療保険で備えておくことも、万が一の際の支えとなるでしょう。

アメリカンホーム保険の女性のための医療保険「morph(モルフ)」なら、女性特有の病気での入院に対する補償のほか、病気やケガによる入院と手術に対する補償が選べます。何かあったときのための心配ごとを少しでも軽減できるよう、医療保険による備えをご検討されてみてはいかがでしょうか。

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【医療情報に関する監修】
医師:成田 亜希子
国立大学医学部卒。総合診療医。
国立保健医療科学院や公益財団法人結核予防会結核研究所で研修を積み、保健所勤務経験から感染症、医療行政に詳しい。
また、行政の女性健康相談窓口の担当経験もあり、女性を対象とした健康教育なども多く手掛けている。
現在は美容クリニックに勤務し、美容の悩みも含めて女性のトータルケアを手掛けている。